2019年大野城市議会議員選挙 立候補予定者アンケート 主催者コメント

2019年4月21日投票の大野城市議会議員選挙に際して、

大野城市の住民自治を考える会では、“立候補予定者に対するアンケート”を実施いたしました。

以下は、このアンケートの結果を受けた、主催者コメントです。

なお、アンケートの結果はこちらに掲載しています。

大野城市議選立候補予定者アンケート これまでの経緯と結果について

2019年6月2日

◎はじめに

アンケート結果の評価の前に、まずは当方の反省点、特にアンケート実施の際の不手際について振り返ることにする。

例えば、アンケートを郵送する際、封筒に記載した候補者氏名の漢字に誤表記があるなど、いくつか、大変失礼なミスをしてしまった。また、ホームページに「これまでの経緯および主催者のコメントは4月下旬以降に掲載します」と記載しておきながら、コメントの発表が大幅に遅れてしまった。

こうした不手際は、「アンケートの実施を決めてから、ホームページを立ち上げ、立候補予定者の情報を集め、アンケートを作成し、郵送…」と1か月程でバタバタと準備を行った結果であり、ひとえに当方の計画の無さに起因するものである。立候補予定者の方々、および市民の方々には、ご迷惑や不快感を与えてしまったかもしれず、今更ではあるが、この場を借りてお詫び申し上げたい。

◎これまでの経緯

次に、今回のアンケートを実施するに至った経緯について説明したい。

大野城市では長年、選挙における投票率の低さが問題視され続けてきた。国政、地方いずれの選挙とも、大野城市の投票率は県内市区町村別投票率ランキングで常に下位であり、最下位に甘んじることも珍しくなかった。投票率向上に取り組む市民活動団体の調査によると、低投票率の原因は様々あるなかで、候補者の考えや人となりが見えてこない、その結果誰に投票してよいかわからないという声が、市民の中に多いことがわかった。

そこで今回の市議選に際して、候補者に対する市民の理解を深め、また選挙に対する関心を高めることを目的として、立候補予定者に対して公開アンケートを行うことにした。

アンケートを行うにあたって、公職選挙法等の法令に抵触することを防ぐため、「市民オンブズマン福岡」に協力を依頼した。「市民オンブズマン福岡」とは、「国、地方公共団体等にかかわる不正・不当な行為を監視し、これを是正することを目的」(※)として活動するNPO法人である。この団体は、行政や企業からの助成金等は受け取っておらず、活動費は会員の会費と寄付で賄っている。

「市民オンブズマン福岡」は、2015年の福岡市議選の際に、立候補予定者に対して公開アンケートを行った実績がある。今回のアンケートでは、このときのノウハウを活用させていただいた。なお「市民オンブズマン福岡」によると、「福岡市議選立候補予定者アンケート」では、アンケートを送付した82名の候補者のうち半数以上から回答を得ており、また実施に当たってトラブル等はなかったとのことである。そのため、今回の「大野城市議選立候補予定者アンケート」についても、公職選挙法等の法令には抵触していないものと考える。

(※) 「市民オンブズマン福岡」が加盟している「全国市民オンブズマン連絡会議」のホームページより引用。

◎今回のアンケート結果についての評価

ここからは、今回のアンケートの結果について、評価や考察を行う。

アンケート結果のページでもお示ししている通り、アンケートを送付した立候補予定者22名に対して、回答をいただいたのはわずか5名と、残念な結果となった。

まずは、この5名の立候補予定者について、誠実なご対応をしていただいたことに感謝申し上げたい。回答の内容はそのまま公約と受け取られかねないことを考えると、今回のアンケートに回答することは、勇気のいる行動だったのではないだろうか。

一方、回答をいただけなかったのは17名と、全体の8割近くにのぼった。そして、その大半は無回答の理由さえ判明しておらず、評価が難しいところである。そのような中で、2名の立候補予定者の方からは、アンケート発送の数日後に筆者あてに電話をいただいた。その内容について、以下で紹介する。

お一人目の方からは、「バックボーンがわからない団体から、いきなりアンケートが送られてきて、回答がなければ“回答なし”と公表する、という脅しのような文章が書かれている。」といったご指摘があった。確かに、当方がどの様な活動を行っているか等は、アンケートをお願いする文書には一切載せていなかったため、この方のおっしゃることも理解はできる。

しかし、この文書には「市民オンブズマン福岡」の協力を得ている旨は記載していた。そのため、“市民オンブズマン”の活動について多少の知識があれば、当方の狙いや目的はある程度想像がついたのではないだろうか。議員を志しておられる方が“市民オンブズマン”をご存じないということには、少々驚いた次第である。

このご指摘に対して、筆者は「では、この様にお考えになってはいかがでしょうか。○○さん(この立候補予定者)が選挙に出られることはすでに多くの市民の皆さんがご存じのことと思います。街を歩いておられる時に、どこの誰だかわからない市民から政策について尋ねられた時は、それでもお答えになるのではないですか?」と問うてみた。さらに“回答なし”と記載する理由についても、「特定の候補者にだけアンケートを実施したのではないということを表すためには、回答があった方については回答を載せ、なかった方には“回答なし”と載せるしかない。そのことを事前に了承していただきたかっただけで、決して脅しなどではない」と説明した。しかし、1時間余り説明を続けても、結局納得はしていただけなかったようである。

お二人目の方は、「回答した者・していない者として名前が載ると、選挙に有利・不利が生じ、公職選挙法に抵触する可能性がある。自分たちの会派はアンケートには答えないことにした。名前も載せないでほしい」という電話をかけてこられた。

まず、有利・不利が生じるという点だが、果たしてそのようなことがあるだろうか。選挙の候補者が、敢えて自分に不利な選択をするとは思えない。回答する方が有利だと思えば回答するし、回答しない方が有利だと思えば回答しないのだろう。どちらにしても候補者は自分に有利な選択をしたはずである。

また、公職選挙法に抵触する可能性についてだが、これは前章でも述べた通り、特に問題はないはずである。むしろ、この方が電話を切る直前に言われた「公職選挙法に抵触する可能性があり、○○さん(筆者)が困ることになりますよ」という発言の方がよほど問題のように筆者には思える。

根拠に乏しいことで「困ることになりますよ」という言い方は恫喝と受け取られかねない。この時、この方は選挙を控えた立候補予定者、すなわち将来的に政治家として公権力を行使しうる立場である。だとすれば、発言にはもう少し慎重さや正確さが求められるのではないだろうか。

◎投票率と投票の質

最後に一つ、知人から聞いた話を紹介したい。いつも選挙の前になると、その知人のところへやってきて、特定の候補者の名前を挙げて投票を依頼してくる知り合いがいるそうだ。その候補者の経歴や、政策、政策実現のための道筋等、一切説明が無く、である。つまり「あなたはものを考えないお馬鹿さんだから、お願い!の一言で投票してくれるよね」と言われているのと同じである…とその知人は言う。だからニコニコしながら「頑張ってくださいね」とだけ言っておくそうだ。

投票率の向上はもちろん大事だが、投票の質も同様に大切である。数年前、富山市議会では、政務活動費の不正使用で議員辞職が相次いだ。このところ頻繁にニュースで流れる国会議員の失言・暴言は止むことがない。いずれも私たち有権者が議会に送り出した面々の不祥事である。

残念ながら今回の大野城市議選の投票率は39.57%と、過去最低を記録した。少しでも選挙が盛り上がればと思いアンケートを実施したが、力不足というのもおこがましいほどの惨敗である。しかし、選挙が終わっただけで、新生議会はこれから始まる。「低いのは投票率か、民度か、議員のレベルか」などと言われないように市民、議員どちらも奮起せねば…である。

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